08-27-12

芸術係数読書会:ニコラ・ブリオー「オルターモダン」を読む

Nicolas Bourriaudの「Altermodern」の読書会のお知らせです。

今回テキストに選んだ「Altermodern」はテート・トリエンナーレ2009として開催された展覧会のタイトルであり、同展カタログに巻頭論文として掲載された論考の題名でもあり、またブリオーが提起する2010年代以降の来るべき時代状況の名前でもあります。

ブリオーは「関係性の美学」で後期ポストモダンの時代における芸術表現について論じましたが、2009年の「Altermodern」展の開催時点にはすでにポストモダンも終わり、私たちの生きる世界は新しい時代状況を反映したものになりつつあると考えています。

ブリオーはそれを「Altermodern=別の近代」と呼びます。彼にとって来るべき時代は、近代に生み出された様々な概念装置が新しい形で実装/実践されていく時代なのでしょう。しかしそれは、近代―ポスト近代の流れのように直線的に進行する時間軸での出来事ではなく、まるで別の時間軸で生起するもう一つの世界であるかのようです。

読書会ではテクストの改題とともに、展覧会に出品されたワリード・ベシュティ、マイク・ネルソン、リンゼイ・シアーズ、サイモン・スターリング、パスカル・マルティン・タイユー、タシタ・ディーン、スボード・グプタらの作品をスライドで紹介しつつ、具体的に検討していきたいと思います。こちらで翻訳したテキストを使って進行いたしますので、英語力はそれほど必要ではありません。

お申し込みはこちらから。

*テキストが掲載されているオルターモダン展カタログは絶版のためAmazonなどでプレミア価格で販売されています。読書会に使用するテキストはこちらで準備いたしますので、購入の必要はありません。もし定価で売っていたらそれは幸運なので買っておくといいですよ。

今回は特に参考図書はありませんが、下記リンク先について目を通しておいていただければ参考になるかと思います。

芸術係数:「オルターモダン」

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日時:2012年9月15日(土)18:00-21:30
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 500円/一般 1,000円
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分


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08-23-12

キャロライン・クリストフ=バカルギエフ(Documenta13ディレクター):インタビュー

“Interview with Carolyn Christov-Bakargiev (English)″に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

ドクメンタ13のディレクター選出直後の頃のインタビュー(04.12.2008)と思われます。

〔字幕〕
インタビュアー:バカルギエフさん、ドクメンタを監督する
魅力とは何でしょうか?

キャロライン・クリストフ=バカルギエフ:ドクメンタを組織することを素晴らしい
チャレンジにしているのは、もちろん、意義深い活動を探求するための時間が
与えられることです。
それは極めて断片化された日常の時間の速度とは全く異なるものです。
そしてもう一つ素晴らしいのは、世界中の最も興味深いアーティストや精神
の持主と関わる機会が与えられることです。
そして彼らとともに、アートワールドと観客の双方にとって意義
深いプロジェクトを作り上げるのです。
アーティストや知識人には極めて重要な役割があるのですから。

インタビュアー:これまでのドクメンタはご覧になりましたか?

バカルギエフ:ええ、可能な限り全部見てきましたよ。
シュネッケンブルガーが二度目に監督したドクメンタ8以降はすべて見ました。

インタビュアー:カッセルについてはどの程度ご存知ですか?

バカルギエフ:いい質問ですね。
どの程度カッセルを知っているかという質問は、
私がどれほどわずかしかカッセルのことを知らないかを答えるものですから。
私自身、カッセルについて知っていることはわずかだと感じています。
私はドクメンタが開催されるたびにカッセルを訪れてきたわけですが、
それは私のカッセルについての知識や体験が、
カッセルの日常生活からは遊離したものであることを意味しています。
とはいえ、コミッティーとのミーティングのためにカッセルを訪問することは、
たくさんの時間を持つ特権を与えてくれました。
もちろん他のディレクター候補者も同じですが…
ともかくその時間は、より…
私が間接的にしか知らなかったことを、つまりこの街が経験したとてつもない
困難を、理解する助けになりました。
五〇年代以降に建てられた、いわゆる新しい建築物は、
巨大なトラウマによって生み出されたものなのです。
そしてそのトラウマは不在の状態において私たちの眼前に現れているのです。
私はこれからそのトラウマについて理解していこうと考えていますし、
それについてより深く考察していくつもりです。

インタビュアー:何が委員会を説得する要因になったとお考えですか?

バカルギエフ:私は彼らを説得したわけではありません。
私は私自身の考えを主張しただけです。
私は人生の中で、一度でも誰かを説得しようとしたことはありません。
誰かを説得しようとすることに関して、私は政治的に反対します。
ドクメンタを監督する人物はオープンであるべきだと考えますが、
ディレクターは何らかの主張をしなければならないでしょうし、
彼らは私の主張に賛同してくれたのだと思います。

インタビュアー:大臣は花火が見たいと言って、あなたが
花火を取り入れるのを期待していますが、
今回のドクメンタに私たちはどんな期待をしたらいいでしょうか。

バカルギエフ:私の髪は縮れ毛ですから、ちょっと花火に似ているのかも
しれませんね。
それはさておき、私が期待しているのは、あくまでも期待ですが…
多くの来場者にとって魅力ある展覧会になること、
そして様々なレベルで意義深い展覧会になることです。
感覚的にも、精神的にも意義深い展覧会を作りたいのです。

インタビュアー:最後の質問です。十三という数字はあなた
にとって何か特別な意味を持ちますか?

バカルギエフ:十三はとても奇妙な数字よね。
いくつかの文化では、それは不吉な数字とされています。
私は一般的に思われているのとは逆の考え方をするので、
幸運だと思っています。

インタビュアー:わかりました、ありがとうございました。

バカルギエフ:どうもありがとう。

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08-22-12

リーアム・ギリック:インタビュー(2009年ヴェネツィア・ビエンナーレ ドイツ館のインスタレーションについて)

“Video-Interview: “Liam Gillick””に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

リーアム・ギリックは2009年のヴェネツィア・ビエンナーレでドイツ代表としてジャルディーニのドイツ館でインスタレーションを発表しました。このインタビューでは特にその入り口部分のプランについて語っています。日常空間としてのシステム・キッチン(ウィーンの女性建築家マーガレット・シュッテの「フランクフルト・キッチン」のデザインに基づいている)を模したインスタレーションを展開させることで、ビエンナーレそのものの歴史とドイツの国家の歴史が重くのしかかるドイツ館の空間の意味を脱構築することがギリックのインスタレーションの狙いでした。

展示風景はこちら

〔字幕〕
展示の最初のパートはまだお見せできないのですが…
私が「虫除けブラインド」と呼んでいるプラスチック製のすだれです。
それがエントランスに設置されます。

このドイツ館で作品を見せるにあたって私が考えていたのは、
どうやってこの建物に抵抗することができるかということでした。
なぜなら…誰もがこの建物の固有の歴史を知っているから。
しかし私自身にとっての問題の一つは、ここが教会に似ていることでした。
それは二重の問題でした。
一つはドイツという国家がたどった歴史、もう一つは建物が教会を思わせるという
形式上の問題。
それは私に重くのしかかっていました。
それを克服するため、日頃から見慣れたプラスチック製のブラインド…
食堂やパン屋でよく見かけるようなブラインドを使おうと思ったんだ。
そして建物入り口の荘厳さや深淵さを減らそうと考えました。
言葉を使うことなく、日常生活の場所の雰囲気を取り入れよう
と考えたんだ。
それに…自分がまだ幼い頃、夏の季節には同じようなものを台所の
入り口に掛けていたんだ。
だからプラスティックのブラインドは展覧会のサインになる。
ここから先は台所のような日常的な雰囲気の場所だよ、というサインにね。

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08-19-12

芸術係数読書会:レオ・スタインバーグ「他の批評基準(フラットベッドとしての画面)」を読む 第2回

 
*日程が変更になりました。

Leo Steinbergの「Other Criteria (The Flatbed Picture Plane)」の読書会のお知らせです。

「他の批評基準」は1968年にMoMAで行われたスタインバーグのレクチャーを元にした論考です。今回読書会で対象にするのはその論考の結末部分、「フラットベッドとしての画面(The Flatbed Picture Plane)」(*Flatbed picture planeは「平台型絵画平面」と訳されるのが通例ですが、ここでは意図的に「フラットベッドとしての画面」と訳出しています)と題された節です。

「他の批評基準」の標的となっているのはフォーマリズムが押し進めようとする「ただひとつの正しい評価基準」という考え方です。スタインバーグは、芸術作品は「平面性」のようなただ一つの価値に向かって直線的に進化するものではなく、その評価は鑑賞者の身体との関係やテクノロジーを含めた横断的な観点から下されなければならないと主張します。「フラットベッドとしての画面」とはそうした彼の主張を端的に言い表したコンセプトであり、それが具現化した実践に与えられた名前でもあります。
スタインバーグによれば「フラットベッドとしての画面」はデュシャンの実践を重要な契機として、1950年代に、とりわけラウンシェンバーグの作品によって現れました。それがもたらした最大の転換は「芸術の主題がnatureからcultureへ移行」したことです。この指摘によって、「他の批評基準」は後のポストモダン・アート・セオリーの枠組みに大きな影響を与えています。

第2回目では、前回読み終えることができなかった「フラットベッドとしての画面(The Flatbed Picture Plane)」の節の残りの部分を読み進め、ボリス・グロイス(「アートと金」)、東浩紀(「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか」)らの論考や、「関係性の美学」、村上隆(スーパーフラット展)、カオス・ラウンジの実践と合わせて読み解き、その可能性について考察したいと思っています。

読書会ではこちらで翻訳を用意いたしますので、特に英語力は必要ではありません。(「他の批評基準」は「美術手帖」の1997年1月号から3月号にわたって抄訳が掲載されていますので、入手可能な方は参考にしてください。)

お申し込みはこちらから。

なお、芸術系数の読書会ではFacebookに読書会ごとのグループを作ってそちらでテキストや参考資料などの共有を行なっていますので、Fecebookアカウントをまだお持ちでない方は取得していただいた上でグループへの登録をお勧めします。

<読んできてもらえると嬉しい本>
東浩紀「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか」(『サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+』所収)
村上隆『スーパーフラット』

<関心があれば>
クレメント・グリーンバーグ「モダニズムの絵画」(『グリーンバーグ批評選集』所収)
ダグラス・クリンプ「美術館の廃墟に」(ハル・フォスター編『反美学』所収)

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日時:2012年9月9日(日)13:30-17:00
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 500円/一般 1,000円
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分


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08-01-12

芸術係数読書会:クレイグ・オーウェンス「作品からフレームへ、あるいは、「作者の死」後、生き残るものはあるか?」を読む 第3回

Craig Owensの「From Work to Frame, or Is There Life After “The Death of the Author”?」の読書会のお知らせです。

「作品からフレームへ、あるいは、「作者の死」後、生き残るものはあるか?」は、1960年代後半から70年代にかけて制作され、発表された芸術作品(主にマルセル・ブロータース、ダニエル・ビュレンヌ、マイケル・アッシャー、ハンス・ハーケ、ルイーズ・ローラーなど)や論考(マーサ・ロスラー、マリー・ケリー、アラン・セクラなど)に見られるある重要な変化に基づいて、80年代以降に現れたアプロプリエーショニズムとして知られる一群の作家たちの仕事についての考察です。

この論考でオーウェンスは、1970年代以降のアート(つまりポストモダン・アート)の基本的条件の一つが「作者の死」であると考えています。しかし同時に、バルトによる「作者の死」を埋める二つの候補者(「読者」と「言語」)の早急な提案は不十分であるとしています。オーウェンスは「作者の死」によって生まれた空席へのアプローチについて、「作者とは何か?」でのフーコーの主張に同意します。(「私たちは、作者が消えた後に残された空白を検証しなければならない。私たちはその裂け目と断層、そして新しい境界線を注意深く検証することによって、その場所を再び埋めなければならない。私たちは、この消滅から生まれた機能の動勢を窺わねばならないのです。」)その上で、バルトとは別の角度からのアプローチの検討に入ります。

第3回目(最終回)となる今回は、オーウェンスがテキスト中で取り上げている、さらなるアーティストたちの活動を通して70年代以降顕在化したアートを取り巻く「フレーム」について考察を進めるとともに、グラフィティなどのストリート・アートや、ジェニー・ホルツァーの「ゼノン」、ヴォディチコのプロジェクション作品などのパブリック・アートなど「フレーム」の外部で展開される作品についても考えてみたいたいと思います。

〔冒頭部分の訳を公開します:PDF形式

お申し込みはこちらから。

なお、芸術系数の読書会ではFacebookに読書会ごとのグループを作ってそちらでテキストや参考資料などの共有を行なっていますので、Fecebookアカウントをまだお持ちでない方は取得していただいた上でグループへの登録をお勧めします。

<参考図書>
ロラン・バルト「作者の死」(『物語の構造分析』所収)

<関心があれば>
クレイグ・オーウェンス「他者の言説」(『反美学』所収)
ミシェル・フーコー「作者とは何か?」(フーコー・コレクション〈2〉文学・侵犯 (ちくま学芸文庫)所収 )
「Art in the Street」(昨年LA MoCAで開催されたストリート・アートを包括的に取り上げた展覧会のカタログ)

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日時:2012年8月25日(土)18:00-21:30
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 500円/一般 1,000円
定員:
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分

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