09-27-12

芸術係数読書会:ニコラ・ブリオー「オルターモダン」を読む 第2回

Nicolas Bourriaudの「Altermodern」の読書会のお知らせです。

「Altermodern」はテート・トリエンナーレ2009として開催された展覧会のタイトルであり、同展カタログに巻頭論文として掲載された論考の題名でもあり、またブリオーが提起する2010年代以降の来るべき時代状況の名前でもあります。

ブリオーは「関係性の美学」で後期ポストモダンの時代における芸術表現について論じましたが、2009年の「Altermodern」展の開催時点にはすでにポストモダンも終わり、私たちの生きる世界は新しい時代状況を反映したものになりつつあると考えています。

ブリオーはそれを「Altermodern=別の近代」と呼びます。彼にとって来るべき時代は、近代に生み出された様々な概念装置が新しい形で実装/実践されていく時代なのでしょう。しかしそれは、近代―ポスト近代の流れのように直線的に進行する時間軸での出来事ではなく、まるで別の時間軸で生起するもう一つの世界であるかのようです。

読書会ではテクストの改題とともに、展覧会に出品されたワリード・ベシュティ、マイク・ネルソン、リンゼイ・シアーズ、サイモン・スターリング、パスカル・マルティン・タイユー、タシタ・ディーン、スボード・グプタらの作品をスライドで紹介しつつ、具体的に検討していきたいと思います。こちらで翻訳したテキストを使って進行いたしますので、英語力はそれほど必要ではありません。

前回は導入部から数人の作家の実例を紹介しました。その傾向をいくつか羅列すると「オルターモダン」のアートの特徴は、個人の体験や想像力による歴史記述の書き換え、ヒューマンスケールを超えた移動の形式化、未来の伝統の提示というところでしょうか。今回は、引き続き参加アーティストの作品に加えて、ブリオーによるモダン、ポストモダン、オルターモダンの歴史記述などについて検討します。

お申し込みはこちらから。

今回は特に参考図書はありませんが、下記リンク先について目を通しておいていただければ参考になるかと思います。

芸術係数:「オルターモダン」

===
日時:2012年10月20日(土)18:00-21:30
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 500円/一般 1,000円
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分


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09-22-12

ケイティ・パターソン「地球―月―地球(月面に反射した「月光」ソナタ)」

“Artist Katie Paterson on Moon Transmission”に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

ケイティ・パターソンは「オルターモダン」展参加アーティストの1人。このプロジェクトはベートーヴェンのソナタ「月光」のMIDIデータを電波に乗せて月面に飛ばし、反射されたデータをもう一度地球で受信した上で、戻ってきたMIDIデータをプレイヤー・ピアノに演奏させるというもの。地球からの電波を月面に反射させて再受信する技術はEMEラジオと呼ばれ、現在ではアマチュア無線でも利用されている技術。パターソンは同じコンセプトでジョン・ケージの「4分33秒」も取り上げている。

プレイヤーピアノの演奏

〔字幕〕
私がこの作品の制作を始めたのは、アイスランド滞在中にネットで月の
イメージを適当に眺めていた時、偶然地球ー月ー地球(EME)ラジオの
ことを目にしたのがきっかけでした。

それは地球から電波を飛ばし月に反射
させて再び地球で受信するというもので、
最初はそれが本当に可能なのか、作り話
なのか分かりませんでした。

調べてみると、それは実際に行われて
いることだと分かったのです。

ベートーヴェンのソナタ曲「月光」を
送信しようと決めたのは…
EMEラジオについて知る以前から、
テクノロジーに関心はあったのですが、
何か感情的に楽しめる作品を、信号に
分解して、電波に乗せることができるとは思って
いませんでした。

でも音楽を送信するのは面白そうだと思いついたんです。

そうれば元の曲とのズレを聴いて確認できる。
月から戻ってこなかった部分を耳で確かめることができると思ったのです。

そしてウィキペディアによると、
最も有名な月についての曲が「月光」でした。

私はまず「月光」のMIDIファイルを聴いたのですが、
それはこどもの演奏のような、デン、デン、デンという感じでした。

それを聴いたとき、これはうまく行くだろうと直観しました。
月へ送られた電波が戻ってくる間に何かが失われる…
MIDI音源では元々表現的な要素が失われているので、
偉大な作品がもっている威厳もやや削がれるでしょう。

戻ってきたデータは、別のテクノロジー、別の翻訳を経て再演されるべきだと思い、
プレイヤー・ピアノを使って亡霊の演奏のように見せるのが良いと思いました。

その演奏はそれでも、とてももの悲しくて、
ほんの少しズレを感じますが、元の「月光」とほとんど同じに聴こえます。

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09-18-12

芸術係数読書会:アーサー・ダントー「アートワールド」を読む

Arthur C. Dantoの「The Artworld」の読書会のお知らせです。

「アートワールド」という言葉は、アーティスト、ギャラリスト、キュレーター、批評家などを含む芸術の制作から受容までの過程を実際に動かしている世界をさす言葉として現在では一般的に使われていますが、この言葉を作ったのが1964年のアーサー・ダントーの「アート・ワールド」という論考です。

この論考でダントーは「アートとは何か?」という問いについて考察します。彼の答えは「それはアートワールドが決めるのだ」というものでした。ここでいう「アートワールド」は芸術の理論が作り出す雰囲気、その歴史的変遷を指します。

ダントーは「模倣論(Imitation Theory)」(プラトン)から、「実在論(Reality Theory)」(ロジャー・フライ)への芸術理論の変遷によってアートの価値判断に「新しさ」という価値基準が導入されたとし、また彼の同時代の作品(ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズ、オルデンバーグ、とりわけウォーホルの「ブリロ・ボックス」)を取り上げ、それらの作品が「アート」として認められるためにはそのような価値基準とそれが生む雰囲気の変化が必要であったと書いています。アートの価値の基礎付けが、徹底的に制度的であり歴史的なものであることを説き幅広い影響を与えた論考です。

読書会ではテクストの改題とともに、テキストで言及されている作品をスライドで紹介しつつ、具体的に検討していきたいと思います。また、こちらで翻訳したテキストを使って進行いたしますので、参加にあたって英語力はそれほど必要ではありません。

お申し込みはこちらから。

===
日時:2012年10月7日(日)13:30-17:00
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 500円/一般 1,000円
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分


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09-06-12

芸術係数読書会:ミウォン・クォン「パブリックアートの場所:統合 vs 介入」を読む

Miwon Kwonの「Sitings of Public Art : Integration Versus Intervention」の読書会のお知らせです。

今回取り上げるテキストはミウォン・クォンの「転々と:サイト・スペシフィック・アートと位置としてのアイデンティティ(One Place After Another: Site-specific Art and Locational Identity)」の第3章になります。ミウォン・クォンは同書で「サイト・スペシフィック」という概念、あるいはこの概念に基づいた芸術的実践の歴史的展開について書いていますが、第3章では特にパブリックアートが取り上げられています。

サイト・スペシフィック・アートは、1960年代から1970年代にかけて現れた制度批判としての芸術実践をルーツとしています。クレイグ・オーウェンスが「作品からフレームへ」で論じたように、その実践はとりわけギャラリーや美術館など制度としての物理的空間に対する抵抗として現れ、次第に都市や郊外の自然など具体的な空間と結びついた表現へ向かいました。

クォンはそのような実践が制度としてのパブリックアート(パブリックアートのムーブメントはいくつかの文化政策に起因する)と結びつき、パブリックアートのあり方を変容させて行く過程をパブリックアートの3つのパラダイム(公共空間に置かれるアート/公共空間としてのアート/公共の利益=関心に関わるアート)の変遷として描き出しています。彼女は二つの失敗したパブリック・アート・プロジェクト(台座のみが今も残されているジョン・エイハーンの彫刻作品プロジェクト、リチャード・セラの「傾いた弧」)の記述からこの章を書き出しており、それがもたらした帰結をきっかけとして、サイト・スペシフィック・アートは具体的な場所との関わりよりも、それを実際に見る人々や作品が置かれる場所で生活する人々とのコミュニティ・スペシフィックな関係により大きく影響されるようになったとしています。

読書会ではテクストの改題とともに、テキストで言及されている作品をスライドで紹介しつつ、具体的に検討していきたいと思います。また、こちらで翻訳したテキストを使って進行いたしますので、参加にあたって英語力はそれほど必要ではありません。

〔冒頭部分の訳を公開します:PDF形式

お申し込みはこちらから。

===
日時:2012年9月29日(土)18:00-21:30
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 500円/一般 1,000円
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分


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