02-24-13

芸術係数読書会:レイチェル・グリーン「インターネット・アート」を読む まとめ回

 

 

Rachel Greeneの「Internet Art」の読書会 まとめ回のお知らせです。

アートには、私たち人間と世界との関わりを知覚可能な表現に変化する側面があります。そこに注目すれば、芸術表現の変遷は、人間が世界を把握する枠組み、つまりテクノロジーの変遷に対応してきた歴史として見る事も可能でしょう。現代に生きる私たちと世界との関係はコンピューター、とりわけ1990年代に爆発的に普及し、2000年代には一気に日常生活のインフラにまで発展したインターネットというテクノロジーに大きな影響を受けています。本書は、ネット環境(とその前史としてのディジタルテクノロジーも含む)と、それが生み出した概念やメディアとアートとの影響関係の歴史を広範に扱っています。

読書会では、ナム・ジュン・パイクら初期のメディア・アートは当然の事として、コンセプチュアル・アートからハプニング、シミュレーショニズム、リレーショナル・アートにいたるまでの作品をネットやディジタルメディアが可能にしたテクノロジーとの影響関係において読み解く序章から読み進めます。これまでの読書会同様、スライドを多用して、可能な限り実際の作例を紹介しながら、具体的にイメージしやすい形で進行いたします。

特に今回のまとめ回では序章の終盤部分を読み進めるとともに、1960年代後半に現れた、プレ・インターネット時代のメディア・アート史をいくつかの展覧会の紹介とともに、見て行きたいと思います。

なお、こちらで翻訳したテキストを使って進行いたしますので、参加にあたって英語力はそれほど必要ではありません。

お申し込みはこちらから。

*本読書会は、定員に達しましたので、申し込み受付を終了させていただきます。ありがとうございました。なお、キャンセルが出た場合には、あらためて告知いたします。

*今回は予約制となっておりますので、前々日18:00以降のキャンセルにつきましては、参加料のお振込をお願いいたします。

===
日時:2013年3月17日(日)13:30-16:50
場所:渋谷区神宮前区民会館
*会場をご確認ください。
参加費:学生 600円/一般 1,200円
定 員:7名(要予約)
郵便番号: 150-0011
住  所: 東京都渋谷区神宮前 6-10-14 4F
電話番号: 03-3409-4565
アクセス:
JR 原宿駅 徒歩8分
東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前駅4番出口 徒歩1分
都バス[池86][早81]系統「表参道」停留所 徒歩2分


大きな地図で見る

             このエントリーをはてなブックマークに追加

02-22-13

芸術係数読書会:ローレンス・アロウェイ「ネットワーク:システムとしてのアートワールド」を読む

 

 

Lawrence Allowayの「Network:The Art World Described as a System」の読書会のお知らせです。

「ネットワーク:システムとしてのアートワールド」はアートフォーラム誌の1972年9月号に掲載された論考です。当時のますます複雑化しつつあるアートワールドの状況を、17世紀の版画制作技術の進歩による美術品の生産/消費量の増大から、18世紀に単を発し1960年代につづく受注制作でない芸術作品の一般化を経て成立した、一つの産業構造として読み解くこころみがなされています。1972年という年はロバート・スミッソンがインタビューで芸術家が自らの作品の価値生産から排除されていることを嘆き、「アーティストが取り込まれている装置の探求、という1970年代に現れた重大な課題は、ますます重要さを増」(1)す、と答えた年でもあります。アロウェイの論考は、このスミッソンの予言への一つの応答であると言えるでしょう。また、現代のアートワールドにも通じる構造を読み取ることもできるかもしれません。

著者のローレンス・アロウェイは「Pop Art」という言葉を作った人物として知られ(2)、戦後のアメリカ美術のイギリスへの最大の紹介者であり、またキャリアの全体を通じてアンチ-アカデミックな態度を貫いた人物です。また、初期には批評家として、Independent Group(IG)にも参加しました。IGは1952年から1955年まで活動したインフォーマルなアーティスト・グループで、メンバーには画家、彫刻家、建築家、批評家などが含まれました。彼らは当時の大衆文化を作品に多く取り入れたことでも知られ、英国・米国双方のポップ・アートの先駆的存在として見なされています。アロウェイはICA館長を務めた後、活動の場を米国に移し、グッゲンハイム美術館キュレーター、Artforum編集者となる。

(1)Bruce Kurtz, ed., “Conversation with Robert Smithon on April 22nd 1972”
(2)これについてはアロウェイ自身がそう答えているが、IGの創設者ジョン・マクヘイルが先にその言葉を用いていたという彼の息子からの証言もある。

読書会ではこちらで作成した翻訳をもとに進行いたしますので,英語力はそれほど必要ではありません。テーマに関心のある方のお気軽な参加をお待ちいたしております。また、ご参加いただいた方はFacebookの読書会グループに登録させていただきますので、そちらで翻訳やスライドなどの資料を共有いたします。

お申し込みはこちらから。

*本読書会は、定員に達しましたので、申し込み受付を終了させていただきます。ありがとうございました。なお、キャンセルが出た場合には、あらためて告知いたします。

*今回は予約制となっておりますので、前々日18:00以降のキャンセルにつきましては、参加料のお振込をお願いいたします。

===
日時:2013年3月10日(日)13:30-16:50
場所:渋谷区神宮前区民会館
*会場をご確認ください
参加費:学生 600円/一般 1,200円
定 員:7名(要予約)
郵便番号: 150-0011
住  所: 東京都渋谷区神宮前 6-10-14 3F
電話番号: 03-3409-4565
アクセス:
JR 原宿駅 徒歩8分
東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前駅4番出口 徒歩1分
都バス[池86][早81]系統「表参道」停留所 徒歩2分


大きな地図で見る

             このエントリーをはてなブックマークに追加

02-08-13

ロバート・ラウシェンバーグ−消されたデ・クーニング

“Robert Rauschenberg – Erased De Kooning”に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

〔字幕〕
ナレーター:ウィレム・デ・クーニングは抽象表現
主義の画家の中で最も成功し、最も大きな影響を与えた作家である。
同時代の若いアーティストたちは皆、彼の卓越した絵画やドローイング作品を
知っていた。

ラウシェンバーグ:みんなデ・クーニングみたいな作品を作っていたよ。
当時の私の作品は彼らのような絵画ではなかったから、
誰も私の作品を真剣に取り上げなかった。
そのおかげで、みんなと仲良くできたよ。
誰からもライバル視されなかったからね。
脅威ではなかったんだ。

男:消されたデ・クーニングだって?www
そりゃどんなだい?教えてくれよww

ラウシェンバーグ:そう、私は描くのが好きなんだ。
馬鹿な事を言ってると思うかもしれないが
私は単純なドローイングから離れて、真っ白な画面に向かおうとしたんだ。
私は自分でドローイングを描き、それを消すという行為を続けた。
だからそれは単なる消された…、そう…ラウシェンバーグだった。
つまりそれは、価値のないものなんだ。
その内気づいたんだ。消されるのは最初から芸術でなければならない、とね。
消されるのはデ・クーニングでなければ。
でなければ重要な作品にはならない、と。
このばかばかしさが分かるかい?
ドローイングを消す事を作品にするためにだよ。

そして私はジャック・ダニエルズのボトルを買い、
それを抱えて彼の部屋のドアを叩いた。
私はずっと彼が不在である事を願っていた。
それならそれで、作品になるから。
だけど彼は家にいたんだ。

短く気まずい時間の後、私の考えを彼に伝えた。
彼は私の考えを理解してくれたよ。
だけど彼はそれに応える必要はないわけだ。
彼が断る事を願ったよ。
それで十分作品になるんだからね!

男:驚いたね。俺ならデ・クーニングが醜い面を見せると予想しただろうね。

ラウシェンバーグ:彼はもっと私を居心地悪くする事ができただろうが、
おもむろに制作中の絵画を取ってイーゼルから外した。
私は彼の行動を計りかねていた。
そして彼はすでに閉じられた入り口のドアに、そのカンバスを立てかけたんだ。
だけど私はそれに気づいていたよ。
そして彼は、「私が失うものになりたかった」と言った。
私は、勘弁してよ…そんないいものじゃなくていいですよ…
とは言わなかったけど、そう思っていた。
私は黙っていた。
そして彼は「君にとても消すのが難しい作品をあげよう」と言った。
マジかよ…とww
加えて彼は色々くれたよ。チャコールに、
油絵の具、えんぴつ、クレヨンとか。
これくらいの小さなドローイングを消すのに一月かかったよ。
裏面は消さなかった。
裏面には記録が残されていた。

女:私は、偉大な巨匠に挑戦したいという彼の
内面の心理が現れた行為だと思うわ。
彼がデ・クーニングを敬愛していたのだとしてもね。
でしょう?だって当時の最も偉大な存命作家ですもの。
それに当然大きなスキャンダルになるわね。
巨匠の作品を消してしまうだなんて!
それは作品を美術史から消してしまう可能性があるだけじゃなくて、
彼の財産を損なう行為でもあるんだから。

ラウシェンバーグ:人々はそれを…抽象表現主義への抵抗の
ジェスチュアと受け取った。
事実は込み入った話だからね。
大多数の人はそうは考えないだろうね。
そんな事があったとは思い至らないだろう…
あるいは純粋な破壊行為か…言い換えれば
野蛮な振る舞いだと思われただろう。

インタビュアー:あなたにとっては?

ラウシェンバーグ:詩だよ。

             このエントリーをはてなブックマークに追加

02-06-13

〔レポート〕芸術係数特別講義:梅沢和木「○と□の画像コア(絵画論)」

 
開催からしばらく時間が経ってしまいましたが、昨年(2012年)末、12月29日に開催された最初の芸術係数特別講義:梅沢和木「○と□の画像コア(絵画論)」の様子などを報告したいと思います。
会場でもお知らせした通り、このトークの内容は編集の上、時間内に収まりきらなかった論点も盛り込んで、冊子として発行する予定です。2月中の発行を目指して現在鋭意制作中ですので、準備が整い次第告知します。

ということでこのエントリではトークの詳しい内容は置いておいて、当日の様子や直接,間接的に見聞きした来場者の感想などをお伝えできたらと思っています

トークの会場になったのは、木場にあるEARTH+ GALLERY(アースプラスギャラリー)です。場所は東西線の木場駅から歩いて10分弱、東京都現代美術館からも同じくらいの距離です。まだオープンして間もないギャラリーですが、なかなか雰囲気の良い空間です。スペースとしては入り口から入って奥に進むと左手に天井の高いホワイトキューブの空間があり、右手にはバーカウンター、そしてロフトスペースにはソファなどが設置されてラウンジのような空間になっています。トークのときにもそこでくつろぎながら聞いている参加者の皆さんもいらっしゃいました。

当日の来場者数は50名で,予想以上にたくさんの皆さんにご来場いただきました。ご挨拶できなかった皆様も多かったので、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
ご来場いただいた皆様の顔ぶれを見ると、普段の芸術係数に参加いただいている方,梅沢さんのお知り合いや仕事関係の皆さん、学生、アート関係者(若干名)という感じでした。あと圧倒的に男性が多い(8:2くらいだったようです)。

トークの前半では、梅沢氏のこれまでの作品をスライドショーで紹介しながら、作家本人による解説していただきました。梅沢氏の実質的なデビューは2009年で、キャリア的には4年弱と非常に短いわけですが、短期間に数多くのプロジェクトに参加していることもあり、作品の変遷を時系列に,作家のコメントともに振り返る機会はこれまでなく、参加者の皆様にも好評でした。梅沢氏の参加プロジェクトの多さは日本の若い作家の中では異例のもので、そのプロジェクトの多くはカオス*ラウンジによるものなのですが、若い作家たちに多くの展示機会を提供するというのは、コンセプトやインスタレーションの面白さ、革新性とはまた別の、カオス*ラウンジの良さだと思います。
 

Photograph by Yuichi Kobayashi

Photograph by Yuichi Kobayashi

Photograph by Tadashi Takenaga

Photograph by Tadashi Takenaga

会場の座席数はちょうど50席でしたので、ほぼ満席になりました。
前半の梅沢氏の作品紹介を終えて、いったん休憩時間をとりました。みなさん歓談したり、梅ラボのマルティプル作品を手に取って眺めたりしていました。人に隠れて見えませんが、写真の左奥にバーカウンターがあります。
 

Photograph by Yuichi Kobayashi

Photograph by Yuichi Kobayashi

後半は、私から梅沢さんの作品の美術史や美術批評との接点になりそうなトピックに関してディスカッションする予定で、今回は「フラットベッド」と「グリッド」という二つのトピックを用意しました。「フラットベッド」はアメリカ人美術批評家のレオ・スタインバーグの「他の批評基準」(1972)という論考で取り上げられた概念で、絵画表面の平面性をとらえなおし、ネオダダやコンセプチュアル・アートひいてはネット・アートのような表現をも予見していたともいえる言葉です。そして「グリッド」はアメリカ人美術批評家のロザリンド・クラウスの1978年の論考のタイトルで、グリーンバーグ的な絵画形式の平面性の追求を、様々な矛盾を抑圧するための概念装置として批判したものです。両者とも、グリーンバーグのフォーマリズム批評によるドグマ的な平面性(フラットネス)の追求に対する批判であり、絵画の新しい可能性を開く試みでした。

当日は進行役の私が時間配分を間違えてしまい、二つのうち「フラットベッド」についてしか話題に上げる事ができませんでしたが、冊子では「グリッド」についての議論も取り上げたいと思います。
 

Photograph by Yuichi Kobayashi

Photograph by Yuichi Kobayashi

トークの冒頭でも少し触れましたが、この芸術係数特別講義の目的の一つは「ポスト・スーパーフラット」について考え、発言していく事にあります。それは世代論的な乗り越えを意図しているのでも、スーパーフラットを単純に過去のものとして扱う事でもありません。私たちの意図は、スーパーフラットを無視し続けて来た日本のアートシーンへの批判も込め、スーパーフラットに正面から応答していくことです。村上さん自身が指摘するように、スーパーフラットがアメリカの傀儡国家としての日本の社会構造そのものであるなら、その構造自体が変わらない限り「ポスト・スーパーフラット」を語る事はフィクションに過ぎないのかもしれません。しかし3.11以降、スーパーフラットが抑圧してきた様々な問題が私たちの目に明らかになっているのは確かで、その前提に立って未来について考え、語り、それを描き出す事が可能になっているのだと私たちは考えます。第二次大戦後、ホロコースト以後の芸術について語ったドイツの思想家の言葉をパラフレーズするなら、「3.11以降、スーパーフラットに言及することなく芸術を語ることは野蛮である」と言ってもいいでしょう。
 

Photograph by Tadashi Takenaga

Photograph by Tadashi Takenaga

芸術係数特別講義は、ゲストと一緒に作り上げているイベントです。広報や運営に関しても具体的に協力していますし、入場料に関しても平等にシェアしています。また、イベントの記録写真は日大芸術学部写真学科の小林雄一さんと竹永理さんに撮影していただいていて、映像記録と設営・受付などでたくさんのボランティアの協力で運営されています。芸術係数ではこうした運営モデルでこれからもトークや展覧会などの企画を運営していく計画です。何らかの形でご協力いただける方は、Facebookやtwitterでご連絡いただければ嬉しいです。

*トーク終了後には交流会が行われ、こちらにもたくさんの方がご参加くださいました。交流会ではvisualog様からご提供いただいた、梅沢さんのアートワークによるポスタープレゼントじゃんけん大会も開催されて大いに盛り上がりました!

             このエントリーをはてなブックマークに追加

 
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この blog は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。