05-31-12

ミート・ジ・アーティスト:トーマス・デマンド「大統領の座」

“Meet the artist: Thomas Demand″に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

作品について紹介しているHPへのリンク
National Gallery of Art Acquires Presidency I–V Photographs by Thomas Demand
Thomas Demand, Presidency

*こちらにtranscriptionがあります。字幕は聞き取りのみで作ったのですが、こちらを読むと字幕には若干誤訳や単語レベルの抜けがありますね。。

〔字幕〕
トーマス・デマンドです。
五点の写真で構成される展覧会を開催します。
厚紙で実物大の模型を制作し、それを撮影した作品です。
作品の制作には二ヶ月かかりました。

それは私たちがよく知っている部屋の模型です。
ホワイトハウスの大統領執務室の模型です。
しかし、実の所その模型は実際のホワイトハウスや
執務室の再現ではありません。
それは彫刻作品なのです。
映画や報道などのメディア上に繰り返し
映し出される、極めてパワフルな場所についての
私の知識や解釈に基づいて作られたものなのです。

すべて厚紙で出来ています。
カーペットは細かい紙片で作っています。

マダム・タッソー館とは全く違います。
この模型は細部の再現を放棄しています。
例えば星条旗には星がありませんし、
書類には何も書かれていません。
細部を作りこむのは簡単なことですが。
私は自分が見出したものを、彫刻へと
翻訳したいのです。
その対象そのものが持つ美しさとともに。

基本的に私が意図しているのは、
鑑賞者がその場所を特定のどこかであると
認識できるのと同時に、
今まで見たこともない場所のように
感じる体験を生み出すことです。
私は人々の無意識にふいに入り込む
ようなイメージを作ろうとしています。
イメージのライブラリーのようなものを。
金色のカーテンの光沢感や
旗竿の先端の鷲の飾りなどの細部によって
満たされるイメージを。

リアリティの細部に入り込み過ぎた時
には立ち止まるようにしています。
私は対象がどのようであるかには全く
関心がないのです。
私の関心は、それがどのように認識されて
いるか、という点にあるのです。

大統領によって執務室のインテリア
デザイナーも異なります。
それは普通ファーストレディの役割
なのです。

ブッシュ・シニアの場合は全く違う
しつらえになっていました。
現在のインテリアよりもう少し趣味が
良かったと思います。
とはいえ、クリントンの趣味がひどかった
というわけではありません。
彼の時代のインテリアは仰々しく、
権力の表象に満ちています。
しかし彼が使っていたダークカラーの
絨毯はとても良いと思いました。
そしてカーテンにはブッシュ・ジュニア
のものを使いました。
さらにレーガン大統領が好んだポケット・
ツリーも加えました。
私が作ったのは複数の執務室の
ハイブリッドであって、
特定の大統領の執務室の再現では
ないのです。

ここには暖炉を写した写真があります。
暖炉はとても謎めいています。
ブッシュ・ジュニアはローマ教皇と一緒に、
暖炉の前に座って歓談しました。

部屋の主の椅子の下からあおった
写真を撮りました。
これは権力について示唆した写真であり、
現実にこの部屋を訪れた人には絶対に
撮ることのできないイメージです。

私は現実とイメージの、どちら
からも等しく影響を受けました。
それは丁度、雑誌で目にしたものを
魅力的に感じたり、
TVに出ている人を、良い人だと思う
といったような意味においてです。
私たちは生活の中での様々な決断を
イメージの影響のもとに行います。
何がほしいのか、私たちは誰で、どこに
いるのか、など。
私はアーティストとして、このような
イメージの影響力に大変関心があります。
私は常にイメージを用いて制作している
のですから。

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