06-03-12

ジュディス・バトラー「あなたの振る舞いがジェンダーを作る」

“Judith Butler: Your Behavior Creates Your Gender″に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

〔字幕〕
質問:「ジェンダーは遂行的である」とはどういう意味でしょうか?

ジュディス・バトラー:一つ言っておきたいのは、ジェンダーは遂行
される、ということです。
それは「ジェンダーは遂行である」というのとは、少し違います。
私たちが「ジェンダーは遂行される」と言う時、
それは普通、私たちはある役割を受け入れて
いるということを、
何らかの仕方で、役割を演じているのだ、
ということを意味します。
私達の演技は、私たちのジェンダーと、
私たちが世界に対して示すジェンダーに
対して決定的な影響を与えます。

ジェンダーは遂行的である、ということは
それとは少し違った意味を持ちます。
何かが遂行的であるとは、それが事実の生産を
繰り返すことを意味するからです。
私たちが演じ、歩き、話し、語るその仕方が
男性であるか女性であるかの印象を
確立するのです。

ブルックリンに越してきたばかりの頃、通りを
歩いていたら、
窓枠に腰掛けた女子高生が、私に声を
掛けて来ました。
「あなた、レズビアンなの?」と…
彼女は私に嫌がらせをしたかったんでしょう。
彼女は怖がっていたのかもしれませんし、
私が何者なのか不思議に思っていたのかも
しれません。
いずれにせよ、私は振り返って「そうよ」と
答えました。
それを聞いた彼女は、とても驚いていました。

私たちはまるで、男であることや、女で
あることが、内面的な現実であって、それは疑う余地の
ない事実であるかのように振る舞います。
実際のところ、それは繰り返し生産され、
再生産される実体のない現象なのです。
ですから、ジェンダーは遂行的である、とは、
あらかじめジェンダーを持つ人などいない、
ということなのです。
理解し難いでしょうが、これが私の主張
なのです。

質問:遂行的なジェンダーという考えは、ジェンダーに
対する私たちの見方をどう変えるのでしょうか?

バトラー:考えてみてください、
女性っぽいしぐさの男や、男のように振舞う女が、
いじめられたり、からかわれたり、暴力に
さらされることなしに、
あるいは両親に、精神科へ行くことを
すすめられたり、
「どうして普通と同じようになれないの」
と非難されることなく社会生活を送ることが
どれだけ困難なのか。
そこには、精神障害に対するノーマライゼー
ションのような制度的な力や、
若年期のいじめのような日常的に遂行される行為が、
私たちを固定されたジェンダーに拘束
しようとするのです。

私が考察しようとしている問いは、
ジェンダー規範がどのように確立され、
規制として機能するのか、
それを撹乱し、規制を乗り越える最良の
策とは何か、ということです。
私の考えでは、ジェンダーは文化的に作り上げられる
ものであると同時に、
行為、あるいは自由の領域でもあるのです。

最も重要なことは、暴力に抵抗することです。
観念的なジェンダー規範によって、
規範とは異なるジェンダーの人々や、
ジェンダー表象に従わない人々に対して
加えられる暴力に。

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