09-22-12

ケイティ・パターソン「地球―月―地球(月面に反射した「月光」ソナタ)」

“Artist Katie Paterson on Moon Transmission”に日本語字幕を付けました。
翻訳は辻憲行 (twitterID=nori_1999)
芸術係数(http://gjks.org)
元の動画はこちら

ケイティ・パターソンは「オルターモダン」展参加アーティストの1人。このプロジェクトはベートーヴェンのソナタ「月光」のMIDIデータを電波に乗せて月面に飛ばし、反射されたデータをもう一度地球で受信した上で、戻ってきたMIDIデータをプレイヤー・ピアノに演奏させるというもの。地球からの電波を月面に反射させて再受信する技術はEMEラジオと呼ばれ、現在ではアマチュア無線でも利用されている技術。パターソンは同じコンセプトでジョン・ケージの「4分33秒」も取り上げている。

プレイヤーピアノの演奏

〔字幕〕
私がこの作品の制作を始めたのは、アイスランド滞在中にネットで月の
イメージを適当に眺めていた時、偶然地球ー月ー地球(EME)ラジオの
ことを目にしたのがきっかけでした。

それは地球から電波を飛ばし月に反射
させて再び地球で受信するというもので、
最初はそれが本当に可能なのか、作り話
なのか分かりませんでした。

調べてみると、それは実際に行われて
いることだと分かったのです。

ベートーヴェンのソナタ曲「月光」を
送信しようと決めたのは…
EMEラジオについて知る以前から、
テクノロジーに関心はあったのですが、
何か感情的に楽しめる作品を、信号に
分解して、電波に乗せることができるとは思って
いませんでした。

でも音楽を送信するのは面白そうだと思いついたんです。

そうれば元の曲とのズレを聴いて確認できる。
月から戻ってこなかった部分を耳で確かめることができると思ったのです。

そしてウィキペディアによると、
最も有名な月についての曲が「月光」でした。

私はまず「月光」のMIDIファイルを聴いたのですが、
それはこどもの演奏のような、デン、デン、デンという感じでした。

それを聴いたとき、これはうまく行くだろうと直観しました。
月へ送られた電波が戻ってくる間に何かが失われる…
MIDI音源では元々表現的な要素が失われているので、
偉大な作品がもっている威厳もやや削がれるでしょう。

戻ってきたデータは、別のテクノロジー、別の翻訳を経て再演されるべきだと思い、
プレイヤー・ピアノを使って亡霊の演奏のように見せるのが良いと思いました。

その演奏はそれでも、とてももの悲しくて、
ほんの少しズレを感じますが、元の「月光」とほとんど同じに聴こえます。

             このエントリーをはてなブックマークに追加



 
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この blog は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。