11-29-12

芸術係数読書会:ミウォン・クォン「パブリックアートの場所:統合 vs 介入」を読む まとめ回

 

Miwon Kwonの「Sitings of Public Art : Integration Versus Intervention」の読書会まとめ回のお知らせです。

読書会のテキストはミウォン・クォン「転々と:サイト・スペシフィック・アートと位置としてのアイデンティティ(One Place After Another: Site-specific Art and Locational Identity)」の第3章で、パブリックアートを巡る諸問題と、それに対するアーティストやパブリック・アートの支援機関のアプローチの中で、「サイト・スペシフィック」性の意味やそれへの期待がどのように変化していったか、約30年にわたるその歴史的展開がテーマになっています。

クォンはその展開を大まかに3つのパラダイム―「公共空間におかれるアート(art-in-public-places)」、「公共空間としてのアート(art-as-public-spaces)」、「公益のためのアート(art-in-the-public-interest)」―の移行と見なしています。そしてそれぞれのパラダイムは特定の表現形式と結びつきます。1番目のパラダイムにはカルダー、イサム・ノグチ、ヘンリー・ムーアらの巨大な屋外彫刻作品、2番目のパラダイムにはスコット・バートンやシア・アルマジャーニ、ナンシー・ホルトらによる機能性を有する環境彫刻作品、3番目のパラダイムはジョン・モルピード、ダニエル・マルティネス、ティム・ロリンズK.O.S.らによる「パブリック・アートの新しいジャンル」(アルレ―ネ・レイヴンとスザンヌ・レイシーによって理論化された)。そしてそれぞれのパラダイムはパブリック・アートを巡る問題やそれに対する期待の変化によって移り変わるのですが、クォンは移行の蝶番の位置に2つの失敗したパブリック・アート・プロジェクト―裁判の末撤去されたリチャード・セラの「傾いた弧」、住民や行政機関からの批判を受けて自主的に撤去されたジョン・エイハーンの彫刻作品―を位置づけます。

テキストの大部分は、この2つのプロジェクトが引き起こした議論の詳細な記述に割かれており、その議論のプロセスと結果がパラダイムの移行に大きな影響を及ぼしたと考えられています。クォンの考察が優れているのは、この議論を単にアーティストやアートの専門家たち(批評家、キュレーターなど)の芸術的意義の視点からだけではなく、パブリック・アートを推進する様々な公的機関(NEA、GSA、パーセント・フォー・アート・プログラムなど)の期待や設置場所周辺の生活者たちの要望も含めた視点から捉え、「パブリック」、「コミュニティ」、そして「サイト・スペシフィック」の問題を空間的/歴史的に描き出している点にあります。

今回は、クォンの記述を追いつつ、提案される一応の(最終的ではない)解決策について考察するとともに、それを通じて日本における「公共」とアートについても議論できれば、と考えています。文学や思想と同じく、芸術が危機にあってその意義を高めるものであるならば、芸術が「公共」に対してどのようなアプローチを取りうるのか、今それについて考える事には大きな意味があるでしょう。

まとめ回ですので全体の流れをつかめるよう進行します。また、ご参加いただいた方はFacebookの読書会グループに登録させていただき、翻訳やスライドのデータを共有いたします。
今回初めてご参加いただく方もお気軽にお申し込みください。

〔前回までの訳を公開します:PDF形式

*翻訳は読書会での解説を前提に作成しておりますので、読みにくい箇所や、若干の誤訳も含まれる可能性があります。ご了承ください。

お申し込みはこちらから。

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日時:2012年12月22日(土)18:00-21:30
場所:千早地域文化創造館
参加費:学生 600円/一般 1,200円(*釣り銭の必要のないようご用意いただければ助かります。)
郵便番号: 171-0044
住  所: 東京都豊島区千早2-35-12
電話番号: 03-3974-1335
アクセス:
地下鉄有楽町線・副都心線 千川駅下車 3番出口 徒歩約7分
国際興業バス「要町3丁目」バス停下車 徒歩約7分


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