03-03-10

これまでの「芸術係数」

「芸術係数」は2006年に始まった「関係性の美学」の勉強会が元になっています。勉強会のメンバーは、学芸員、キュレーター、会社員、主婦、NPOスタッフ、アーティスト、学生など様々です。参加者のほとんどは、AIT(Art Initiative Tokyo)というアートNPOの運営する美術の学校「MAD(Making Art Different)」の講師や生徒で、AITでの出会いが勉強会につながりました。。

現在の参加者数はだいたい7-8名で、毎月1回集まって英文テキストを読んでいます。最初の「関係性の美学」は、まだ日本語訳が出版されていないということで、日本語版の出版を目指してじっくりと時間をかけて読み進めました。結局「関係性の美学」は昨年の9月頃に読み終えたのですが、翻訳を進めていく中でテキストに使っていた英語訳がフランス語の原本との対照でとても問題のあるものであることがわかり、フランス語にあたりながら再度翻訳を直しています。この作業は6月中には終わらせようと思っています(キリッ

その後、二冊目のテキストとして「Aesthetics of Risk」というアンソロジーに取り組んでいます。これは、南カリフォルニア地区のアート関係の大学や学部に所属する研究者や在野の批評家の連合体であるSouthern California Consortium of Art Schools (SoCCAS)が主催、Getty Research Instituteがホストして2006年に開催されたシンポジウムの内容をもとに編集したものです。各論考は基本的に独立しているので、はじめから読み進める必要はないのですが、私たちは全体のアウトラインを把握するために序章から読み進めています。ここまで序章を読み進める限りでは、ウルリッヒ・ベックの「危険社会」やアンソニー・ギデンズらの「再帰的近代化」の議論が大きな前提となって話が進んでいて、それに加えて前回読んだあたりからパフォーマティヴィティの概念を軸にパフォーマンス・アーティストの身体と主体化の問題、その政治性に関する話題が出てきています。この辺の話はさして目新しいものではありませんが、現代アートをめぐる言葉をより広い文脈に接続する試みの一つとして捉えて、読み進めていこうと思っています。

読書会は特に決まったスペースを持っていませんので、毎回都内の公共施設や貸し会議室を借りて実施しています。決まった会費はなく、その時々の参加者で会場費を折半するという、まったく自主的にアートについて勉強したい人の集まりです。今読んでいるテキストはかなり社会学的な傾向の強いものですが、今後はもう少し美術史よりのものを読んでいくのも良いかなあと思っています。参加者は基本的に自由ですので、興味のある方はinfo(at)gjks.org (※「(at)」を「@」に変更してお送りください)まで、メールでお問い合わせ下さい。

そして、この勉強会を拡大する形で、よりアクチュアルなアートの言葉を学びそれを共有する場所として、今月から「芸術係数ダイアローグ」としてトークイベント、または作者を招いての読書会、を開催することになりました。もともとは自分たちが関心のある話題についてもっと知りたい、という動機からはじめようと思ったことなですが、今のアートをめぐる言葉を物足りなく思う人たちと共有したいとも思っていますので、よろしくお願いします。

辻憲行

Denitrifikace .

             このエントリーをはてなブックマークに追加



 
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この blog は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。